寄り道
「銀ちゃん逝ってしまった..」
家では、ニワトリの全体を「ピピコ」と呼んでいるのだけど、
その中にオス3羽いる。
今日現在もハーレムの座を巡って、熾烈な戦いをしているの
さ。
以前のハーレムを征したのは、次郎であったが歳をとって、
「ぴょちよ」に地位を奪われてしまった。
次郎と同じ頃の子であるオスの銀ちゃんは、いつも負け組の
奴だった。。
交尾は、いつもスキを見てしていた。
見つかると大変だ、大乱闘である。
その様な環境の中で新たなオス「ぴょちよ」が、登場した。
我が家では、タマゴをヒナに孵(かえ)すことをないように
していたが、人間で言えば生まれたのである。
そんな困る奴が今、王座を取っている。
ニワトリの血統を守る為に、絶えず卵を採っていたのだが。
次郎か銀ちゃんの子だか、わからない状態である。
人間様だと、親がはっきりしてないと大変な問題であるが、
家内は、可愛そうだと言って飼っている。
ある朝、家内が「ピピコ」の小屋を開け、次郎が居ないので
大きい声で「次郎」、「次郎」と呼んだそうだ。
隣の家の、旦那さんが「なんだいー」と返事したそうだ。
慌てて、「銀ちゃん」の名前を呼ぶのを止めたと言っていた。
隣の奥さんが、呼んだと思い返事したのだろう。
間もなく、戦いに敗れ、頭から血を流し小屋の隅で死んでい
た銀ちゃんを見つけ、変わり果てた亡骸(なきがら)を、家
内は、新聞紙で包み燃えるゴミに出したそうだ。
その報告を聞き「銀ちゃんの生き様から、何を学ぶ」と思った。
あいつは、時々は、互角に戦う事が有ったが、1回もハーレム
を受け継ぐ事無く終わって逝ってしまった。
亡骸も、土に埋められることなく、その日が燃えるゴミの収集
日だったので新聞紙に包められ、他のゴミと火葬された。
少なくても、その様に思う事にした。
何度も挑戦しても叶わなかった次郎が不憫(ふびん)だった。
そにことは、誰だってあるはずだ。
私もそうだ。
だが、そこを早く察知して、別な方向を前向きに見つけだす事
が出来なかった「銀ちゃん」が、あわれや。
私も銀ちゃん同様かもしれない、気をつけなくっちゃ。